祖父母と叔父を見送りました。喪主は母で、私は費用の話し合いに同席していた立場です。
そのとき何度も思ったのが、「え、これも別料金なの?」ということでした。
葬儀社のパンフレットには「一式◯◯万円」と書かれています。しかし実際に進めていくと、そこに含まれていない支払いが次々に出てきます。
この記事では、私が実際に見聞きした5つの「別料金」を書きます。金額の正確さより、「何にお金がかかるのか」を先に知っておくことのほうが役に立つと思うからです。
① 戒名代が、その場で100万円になった話
いちばん書き残しておきたいのが、これです。
戒名をお願いするため、母と親族でお寺へ話を聞きに行きました。事前に調べたり周囲に聞いたりして、50万〜70万円くらいだろうと想定していました。
同行した親戚の一言で、金額が動きました
その場に、遠い親戚が同行していました。
住職から金額の話が出たとき、その親戚がこう言いました。
なんだ、そんな程度の金額か。うちのじいさまのときは100万くらい払ってやったぞ。
それを聞いた住職は、こう応じました。
それでは、もっと立派な戒名をお付けしましょう。
——結果として、100万円を支払うことになりました。
想定していた金額より、30万〜50万円多い出費です。
ここから学んだこと
この出来事には、はっきりした教訓があります。
お金の話をする場に、支払う人以外を入れないことです。
同行した親戚に、悪気があったとは思っていません。おそらくその場の空気で、見栄を張っただけです。自分が払うわけではないので、金額の重みも実感していなかったのだと思います。
ただ、その一言で金額が上がり、負担したのは母でした。
葬儀の場は、断りにくい空気に包まれています。住職の前で「やっぱり安いほうで」とは、なかなか言えません。その場の流れで決まってしまうのです。
これから同じ場面に立つ方へ
- 金額の相談は、支払う人と近親者だけで行う
- 親族に同行を求められても、「お金の話なので」と伝えて分ける
- お寺へ行く前に、家族の中で上限を決めておく
- その場で即答せず、「一度持ち帰ります」と言えるようにしておく
4つ目が特に大切です。「持ち帰る」という選択肢があると分かっているだけで、その場の空気に流されにくくなります。
なお、戒名の考え方や金額は宗派やお寺によって大きく異なります。決まった料金表があるものではありません。実際の相談は、菩提寺に直接確認してください。
② ドライアイス代は、日数分かかります
正直に書きますが、私はドライアイスが必要なことを知りませんでした。
その年は例年以上に暑い日が続いていました。ご遺体を安置するあいだ、傷まないように冷やす必要がある——そう説明されて、初めて理解しました。
「冷たいのは、亡くなっているからではありません」
これも、そのとき初めて分かったことです。
ご遺体に触れると、ひんやりしています。私はずっと、亡くなっているから冷たいのだと思っていました。
違いました。ドライアイスで冷やしているから冷たいのです。
知ってしまえば当たり前のことですが、実際にその場に立つまで考えたこともありませんでした。
費用は「日数×交換」で増えます
ドライアイスは溶けるため、定期的に交換が必要です。つまり——
- 安置する日数が延びれば、その分だけ費用が増えます
- 気温が高い時期は、使用量そのものが増えます
安置期間が延びる理由は、こちらの都合だけではありません。火葬場の空き状況や、親族が集まれる日程で決まります。
つまり自分では調整しきれない事情で、費用が増えることがあるということです。
③ 通夜振る舞いは、人数が読めません
通夜のあとの食事、いわゆる通夜振る舞いです。
ここで困るのが、何人来るのか事前に分からないことです。
家族が席を譲る形になりました
私たち家族3名も、席に招かれていました。ところが予想以上に参列者が多く、席が足りなくなりました。
結果として、私たちは帰ることになりました。
誰が悪いという話ではありません。ただ、こういうことが起こると知っているかどうかで、心の準備がまったく違います。
難しいのは、少なすぎても多すぎても困ることです
| 状況 | 起きること |
|---|---|
| 用意が少なかった | 席が足りず、案内できない方が出る |
| 用意が多かった | そのまま費用になる(食べきれない) |
参列者の人数は、訃報がどこまで伝わったかで変わります。故人の交友関係を家族が把握しきれていないことも多く、正確な予測はまず不可能です。
葬儀社の担当者に「このくらいの規模だと、だいたい何人くらいですか」と率直に聞くのが、いちばん現実的だと感じました。
④ 斎場の部屋代(宿泊しました)
斎場で葬儀を行った際、家族は斎場に宿泊しました。
押さえていたのは、
- 寝室2部屋
- 葬儀会場
明細を直接見たわけではないので金額は分かりませんが、相当かかっているだろうと感じました。
会場費は「一式」に含まれていると思いがちですが、宿泊用の部屋は別枠になることがあります。使う部屋数と泊数で変わるため、事前に確認しておく価値があります。
互助会に入っていたことは、母の救いになっていました
母は喪主として、「互助会に入っていて良かった」と話していました。
互助会は毎月少額を積み立てておき、葬儀の際に利用できる仕組みです。賛否のある制度ですが、実際に使う立場になったとき、支払いの心理的な負担が違ったのは事実です。
ただし互助会の内容は団体によって異なり、積立金だけですべてまかなえるわけではありません。加入を検討する場合は、何が含まれ、何が別料金なのかを必ず確認してください。
⑤ お花代(花環)は実費です
最後がこれです。意外と痛かったのが、お花代でした。
花環や供花は実費になります。誰が出すのかという問題もあり、家族・親族・会社などから複数出ることもあります。
一基あたりの金額はそれほど大きく見えなくても、本数が増えれば合計は膨らみます。
意外だったこと──請求書自体は正確でした
公平のために、これは書いておきます。
「聞いていた金額」と「最終的な請求」に、差はありませんでした。
後から知らない項目が追加されていた、といったことは起きていません。葬儀社の説明も請求も、きちんとしていました。
では、なぜ想定より高くなったのか。
私たち自身が、その場で「上のもの」を選んでしまったからです。
戒名がまさにそうでした。だまされたのではありません。断れない空気の中で、自分たちが決めたのです。
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
葬儀費用が想定を超える原因は、不当な請求より「その場の判断」であることが多い
これから見送る立場になる方へ
葬儀は、準備する時間がほとんどないまま始まります。悲しみの中で、次々に判断を迫られます。
だからこそ、何にお金がかかるのかだけでも先に知っておく意味があります。項目を知っていれば、その場で「それは別料金ですか」と聞けるからです。
元気なうちに家族と話せること
- 菩提寺があるか(ある場合、戒名はそこにお願いすることになります)
- 互助会や葬儀の積立に入っているか
- 本人がどのくらいの規模を望んでいるか
- 誰が喪主をやるか
縁起でもない、と敬遠されがちな話です。しかし何も分からない状態で始まるほうが、はるかにつらいというのが、見送る側に立った実感です。
まとめ
- 戒名代は、その場の空気で金額が動くことがある。お金の話は近親者だけで
- ドライアイス代は安置日数と気温で増える。自分では調整しきれない
- 通夜振る舞いは人数が読めない。家族が席を譲る事態も起こる
- 斎場の部屋代は、宿泊すると部屋数と泊数の分かかる
- お花代(花環)は実費。本数が増えると効いてくる
- 請求は正確だった。想定を超えた原因は「その場の判断」だった
もし今、身近な方の見送りを控えている方がいたら、ひとつだけ。お金の話をする場に、誰を入れるかを決めておいてください。私たちが最も高くついたのは、そこでした。
※葬儀の費用や進め方は、地域・宗派・葬儀社によって大きく異なります。この記事は一家族の経験であり、金額を保証するものではありません。実際の内容は、葬儀社および菩提寺に直接ご確認ください。


