お墓をどうするか、兄弟で話し合っています。
結論から書きます。私も弟も、墓じまいをしたいと思っています。
それでも、できていません。
止めているのは、費用でも手続きでもありません。そのお墓に、意味があるからです。
まだ答えの出ていない話です。だからこそ、今の時点で書き残しておきます。
祖父が、自分で建てたお墓です
そのお墓は、祖父が亡くなる前に、自分で建てたものでした。
そして——そこに最初に納められたのは、祖父ではありませんでした。
最初に入ったのは、生後1週間ほどで亡くなった息子でした
祖父母には、生まれて1週間ほどで亡くした息子がいました。
その子はずっと、祖父の本家のお墓に入れてもらっていました。自分たちのお墓がなかったからです。
祖父は、自分のお墓を建てたのを機に、お寺にお願いして、その子を移してもらいました。
土地を買ってから、建てるまで
祖父が墓地の土地を購入したのは、私が小学生の頃でした。
実際にお墓が建ったのは、私が中学生になった頃です。買ってすぐではありません。何年もかけて準備して、ようやく形にしたお墓でした。
あの日のことを、強烈に覚えています
お墓が建ち、その子を移したのは、私が中学生の頃のことです。
まず本家のお墓で、お寺さんに供養をしていただき、それから新しく建てた祖父のお墓で、あらためて供養をしていただきました。
子どもだった私にも、これは特別なことなのだと分かりました。その光景を、今でもはっきり覚えています。
何十年も、待っていたのだと思います
祖父がその子を亡くしたのは、まだ若い頃のことです。今から数えれば、70数年前になります。
それから何十年も経って、土地を買い、お墓を建て、そして真っ先にあの子を移しました。
ずっと、そのつもりだったのだと思います。
ひとりで眠っていたのは、数年でした
祖父自身がそのお墓に入ったのは、私が20歳のときです。
つまり——その子だけがひとりで眠っていた期間は、数年ほどだったことになります。
正直に書くと、私はもっとずっと長い年月だったように記憶していました。数えてみて驚いています。
子どもの頃に見た光景だったからかもしれません。あの供養の日と、祖父の葬儀の日は、記憶の中では遠く離れていました。
祖父の葬儀の日に聞いた話
これは、書き残しておきたい話です。
祖父の葬儀の日、本家のおじさんが、夢を見たと言いました。
じいさんと、あの赤ん坊の夢を見た。
おじさんは、泣きながら、笑いながら話してくれました。
やっと、亡くした息子に会えるんだろうなと思ったら、目が覚めた瞬間に、泣けて泣けて仕方がなかった。
今、そのお墓には祖父と、その赤ちゃんと、そして祖母が眠っています。
それでも、墓じまいを考えています
ここからが、現実の話です。
あれだけ大切な意味のあるお墓です。それでも私たちは、墓じまいを考えています。
理由は、費用が続くことです
正直に書きます。お寺にかかる費用は、決して安いものではありません。
そしてこれは、一度払えば終わるものではありません。お墓がある限り、次の代へ、その次の代へと続いていきます。
弟は「甥に継がせたくない」と言っています
弟には息子がいます。つまり、私から見れば甥です。
弟が言うのは、こういうことです。
これは負の遺産になる。息子には引き継がせたくない。
私も、同じ考えです。
- 今の時代、そもそも就職できるかどうかが分からない
- 働けたとしても、自分たちが暮らすだけで精一杯だろう
- お寺に回せる余裕など、子ども世代にはない
お墓を残すことは、子どもに「支払い続ける義務」を渡すことでもあります。
だから、この代で終わらせたい。それが私たち兄弟の考えです。
兄弟で割れているのは、実は「やるかどうか」ではありません
ここが、話し合いの核心です。
やるかどうかでは、意見は一致しています。私も弟も、墓じまいに賛成です。
割れているのは——いつやるかです。
母が、断固拒否しています
母の言い分は、こうです。
死んでからにしてくれ。死んでからも、すぐにはやるな。3回忌が終わってからにしろ。
取りつく島がありません。
弟も、母がいる間はできないと考えています
弟の立場は、母寄りです。
金なら俺が出す。でも、母さんが死んでからだ。
費用を負担すると言ってくれているので、私が反対する筋合いもありません。
私は、早いほうがいいと思っています
理由は現実的なものです。
母がそのお墓に入ってしまうと、墓じまいの費用はさらに上がります。
墓じまい(改葬)では、納められているご遺骨を、別の場所へ移す必要があります。永代供養などに移す場合、その費用はご遺骨の数に応じて増えることが一般的です。
つまり——一人増えれば、その分、負担が増えます。
ただ、この理屈を母に向かって言うことはできません。「あなたが入る前にやりたい」と言っているのと同じだからです。
言えるはずがありません。
「出ていったあんたには関係ない話」
もうひとつ、書いておきたいことがあります。
母の口癖です。
(嫁に)出ていったあんたには、関係ない話だ。
お墓のことに口を出すと、必ずこれが返ってきます。
それでいて、片づけは頼まれます
一方で、遺品整理や家の片づけは「やってくれ」と言われています。
関係ないと言ったり、やってくれと言ったり——都合のいい話です。
▶ 遺品整理を家族だけでやってみて分かったこと【自治体の無料持ち込みと、片付けの落とし穴】
以前は腹も立ちましたが、今は真に受けず、適当に流しています。
年を取ると、人は頑固になります。正論で説得できる相手ではありません。言い合っても、関係が悪くなるだけです。
結局、生きている間は何もできません
これが、今の時点での結論です。
お墓の名義や管理を担っているのは母です。本人が拒否している以上、私たちにできることはありません。
墓じまいの記事を読むと、費用の相場や手続きの流れが丁寧に説明されています。しかし私たちがつまずいているのは、そこではありません。
墓じまいの最大の障壁は、費用でも手続きでもなく、家族の感情です。
そして、その感情には正当な理由があります。
祖父が、何十年も抱え続けた気持ちで建てたお墓です。母にとっては、両親と、生まれてすぐ亡くなった兄が眠る場所です。
「維持費が続くから」という理屈だけで、たためるものではないのだと思います。
私たちが墓じまいをためらう理由は、そのお墓が大切だからです。矛盾しているようですが、これが本当のところです。
それでも、今できること
何もできないと書きましたが、準備だけは進められます。同じ状況にいる方のために、整理しておきます。
① 「やるかどうか」と「いつやるか」を分けて話す
私たちの場合、やること自体には全員が反対していません。争点は時期だけでした。
ここを分けずに話すと、「墓を捨てる気か」という話になって決裂します。先に「いずれは、たたむ」という点だけ合意しておくと、当日の判断が楽になります。
② 費用を負担する人を、先に決めておく
弟が「金は俺が出す」と言ったことで、お金の争いにはならずに済んでいます。これは大きいと思います。
③ 承継者が誰になっているかを確認する
お墓には管理を引き継ぐ人(承継者)がいます。ここが曖昧なままだと、いざというときに動けません。
④ 手続きには、公的な書類が必要だと知っておく
墓じまい(改葬)には、自治体が発行する改葬許可証が必要です。「石を撤去すれば終わり」ではありません。
お寺、石材店、移転先、自治体——関わる相手が複数いるため、思っているより時間がかかります。
⑤ 親の希望を、そのまま記録しておく
母の「3回忌が終わってから」は、一見わがままですが、実は重要な情報です。
時期を指定してくれているということは、「いずれはたたんでもいい」と言っているのに等しいからです。
反発せずに聞いておけば、そのときに迷わなくて済みます。
まとめ
- 祖父は若い頃に亡くした息子のために、何十年も経ってから墓を建て、最初に納めた
- そのお墓には今、祖父・その子・祖母が眠っている
- それでも兄弟は墓じまいを望んでいる。子ども世代に負担を渡さないため
- 割れているのは「やるかどうか」ではなく「いつやるか」
- 母は「死んでから、3回忌のあとで」と断固拒否
- 納骨されている人が増えると費用は上がるが、それは本人には言えない
- 墓じまいの最大の壁は費用でも手続きでもなく、家族の感情
- できることは、時期の合意・費用の担当・承継者の確認・親の希望の記録
同じことで悩んでいる方へ。決められないのは、あなたが薄情だからではありません。そのお墓に意味があるから、決められないのだと思います。
我が家も、まだ何も決まっていません。決まったら、また書きます。
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※墓じまい(改葬)の費用・手続き・必要書類は、寺院・霊園・自治体によって異なります。この記事は一家族の状況です。実際の手続きは、管理者および自治体にご確認ください。


