在宅ワークで収入が増えてくると、「開業届は出したほうがいいのだろうか」と考えるタイミングが来ます。
私も同じところで迷いました。この記事では、開業届とは何か、出すメリットと注意点、そして出す前に必ず確認すべきことをまとめます。
開業届とは
正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。個人で事業を始めたことを税務署に知らせる書類です。
提出はA4用紙1枚で、費用はかかりません。税務署の窓口・郵送・e-Taxのいずれでも提出できます。
いつ出すのか
原則として事業を開始した日から1か月以内とされています。ただし、提出が遅れたことによる罰則は設けられていません。
出すとどうなるか
メリット
- 青色申告ができる(最大65万円の特別控除。これが最大の理由です)
- 屋号で銀行口座を作れる
- 事業用のクレジットカードや融資の申し込みがしやすくなる
- 小規模企業共済など、事業者向けの制度を利用できる
青色申告特別控除は、所得から最大65万円を差し引ける制度です。税金が直接安くなるため、収入が増えるほど効果が大きくなります。
注意点
- 健康保険の扶養から外れる可能性がある(加入先の規定によります)
- 失業手当を受給中の場合、給付が終了する
2つ目は特に重要です。詳しくは後述します。
青色申告をするなら、承認申請書も一緒に
開業届を出しただけでは、青色申告はできません。「所得税の青色申告承認申請書」を別途提出する必要があります。
提出期限は、青色申告をしたい年の3月15日まで(その年の1月16日以降に開業した場合は開業日から2か月以内)です。
開業届と同時に出せる書類なので、一緒に提出してしまうのが確実です。私は後から気づいて慌てました。
出さなくてもいい場合もあります
収入がまだ少なく、青色申告のメリットが小さいうちは、急いで出す必要はありません。
目安として、年間の所得(収入から経費を引いた額)が48万円を超えるあたりから、確定申告が必要になり、開業届と青色申告の効果が出てきます。
⚠️ 失業手当を受給中の方は、提出前に必ず確認を
ここが最も注意すべき点です。
開業届を提出すると「就職した」とみなされ、失業手当の受給は終了します。
失業手当は「求職活動をしている人」への給付なので、事業を始めた時点で対象から外れます。うっかり出してしまうと、残っていた給付を受け取れなくなります。
ただし、条件を満たせば「再就職手当」の対象になる可能性があります。提出のタイミングによって、受け取れる金額が変わることがあるため、必ず事前にハローワークで相談してください。
詳しくはこちらにまとめています。
▶ 開業届を出すと失業手当はどうなる?受給中の方が損しないための注意点
提出の流れ
- 国税庁のサイトから開業届の様式をダウンロード(またはe-Taxで作成)
- 屋号・事業内容・開業日などを記入
- 青色申告承認申請書もあわせて作成
- 税務署へ提出(郵送・持参・e-Tax)
- 控えを必ず保管する(屋号口座の開設などで必要になります)
控えの保管は忘れがちですが、後で必要になる場面が多いので必ず取っておいてください。
書類の作成に迷ったら
開業届も青色申告承認申請書も、初めて書くと項目の意味が分かりにくい書類です。
会計ソフトには、質問に答えるだけで書類を作成できる機能があります。開業後の帳簿づけや確定申告まで一貫して使えるので、最初から入れておくと後が楽になります。
よくある質問
Q. 副業でも出せますか?
出せます。ただし会社の就業規則で副業が制限されていないか、事前に確認してください。
Q. 扶養から外れますか?
税法上の扶養は所得金額で判定されるため、開業届自体が直接の原因にはなりません。ただし健康保険の扶養は、加入先によって「開業届を出した時点で対象外」とする規定があるため、必ず配偶者の勤務先に確認してください。
Q. 屋号は必要ですか?
空欄でも提出できます。後から変更や設定も可能です。
Q. 出した後にやめたくなったら?
廃業届を出せば手続きできます。同じ様式で対応できます。
まとめ
- 開業届は事業開始を税務署に知らせる無料の書類
- 最大のメリットは青色申告(最大65万円控除)が使えること
- 青色申告承認申請書も一緒に出すのを忘れずに
- 所得48万円が一つの目安。それ以下なら急がなくてよい
- 失業手当の受給中は、提出前に必ずハローワークへ相談する
収入が安定してきたら、開業届は出しておいて損のない書類です。ただし失業手当を受給中の方だけは、順番を間違えないよう気をつけてください。
※税制や社会保険の扱いは改正されることがあります。ご自身の状況については、所轄の税務署・ハローワーク・保険者にご確認ください。





